土曜日のNIKKEI電子版から、
人気の湾岸タワーは見送り
家賃相場を基準に物件をみていくと不動産市場の意外な姿も浮かび
上がる。REIT各社はリーマン・ショックの影響で不動産市況が低迷し
た10年前後に東京湾岸部のタワーマンションを相次いで取得した。
大和ハウス・レジデンシャル投資法人の芝浦アイランドブルームタワ
ー(港区・48階建て)やオリックス不動産投資法人の芝浦アイランドエ
アタワー(同)などがその例だ。
ところが東京五輪の選手村の建設が中央区晴海に決まり、湾岸部が
脚光を浴びたこの数年、REIT各社は湾岸部のタワーマンションの購
入を見送っている。利回りが急速に低下したためだ。
湾岸部では中国の投資家の「爆買い」や国内の富裕層やファミリー層
の人気を狙ってタワーマンションが次々と供給されている。70平方メー
トル前後で1億円を超す物件の即日完売が相次いだ。
ただ「10年ほどで物件価格が2倍以上になったが、家賃相場の上昇
率は1ケタ小さい。同じ億ションでも家賃水準の高い赤坂や麻布など
山の手の物件の方が魅力が高い」(大手REIT)という。
不動産調査会社の東京カンテイ(東京・品川)の高橋雅之主任研究員は
「家賃相場の裏付けがある物件は不動産市況の下落局面で値下
リスクが小さく、不況時に強い傾向がある」と指摘する。